理事長所信

2021年度理事長 谷口 雄紀君が掲げる理事長所信です。
この所信を元に、高松青年会議所のメンバーは活動を行います。

理事長

公益社団法人高松青年会議所
第61代理事長 谷口 雄紀

スローガン

「Change The World!」
~豊かな心溢れる 明るい未来に向けて ともに進もう~

基本方針

  1. 幸せになるための自分づくり
  2. 希望に導いてくれる繋がりづくり
  3. 豊かな心を生み出すひとづくり
  4. 明るい未来を描けるまちづくり
  5. 柔軟にアップデートできる組織づくり
  6. 勇気ある行動を生み出す絆づくり

理事長所信

誰かに与えられる問題と解答に価値はない
大切なことは、自分で問題をつくり自身で答えを導き出すことだ
そして人は一歩前に踏み出すことができる
誰かに与えられたものではない、私たちのための幸せな未来に向けて

はじめに

私は高松が大好きです。皆様はどうでしょうか。
「お金儲け」による商売の成功、あるいは「最先端の職業」に従事したいのであれば、大都市での人生を選択すれば容易に実現できるでしょう。しかし私は高松で生きることを決め、このまちで働き暮らしています。
大学進学で上京した2005年の春、私は初めての一人暮らしをスタートしました。楽しみにしていた新生活の幕開けでしたが、ほどなくして酷いホームシックにかかり回復までに長い時間を要しました。未熟な少年に起きた、ともすれば笑い話になるような出来事ですが、大きな気づきを私に与えてくれました。それは「自分は郷土と家族に生かされていた」ということでした。そして私は「郷土の未来をより良くできる人に成長し、育んでくれた全てに恩返しをしたい」という人生の目的に出会いました。生まれて初めて自分自身で導き出した、この目的は今でも変わりません。それが私の原点です。

危機と希望

世界情勢は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を経て大きな混乱を生じています。生産と消費の両方が抑制され経済危機が起こりました。感染者数の増減に合わせて経済は繰り返し打撃を受け続け、地域社会でもこれから先、廃業や失業者は増加していきます。生活の困窮や先行きの不透明さによる心理的な不安は新たな社会問題や事件を生んでいきます。さらにデジタル技術はコロナ禍の影響を受けて急激に進化した半面、様々な格差問題を生み出しています。各家庭のデジタル環境の違いによる教育格差を筆頭に、デジタルに慣れていないシニア世代が社会生活から乖離してしまうデジタルデバイドという問題も発生しています。地域社会に広がった格差により、新たな差別や対立が起きるかもしれません。このままでは人々の精神的なゆとりは減少し、他者を思いやり助け合う余裕のない、心の貧しい社会が訪れます。
しかし新たな希望も生まれています。コロナ禍の中で様々な常識や価値観が見直されました。まずはICT技術の進化により、リモートワークやテレカンファレンスなどを活用した新たな働き方の様式を手に入れました。そして生活や人生のスタイルも見直され、緊密な都市生活より開放的な地方生活に大きな注目が集まっています。さらに人生の選択肢が増えたことにより、会社と家庭以外にも人的な繋がり(ネットワーク)をもつことの重要性が高まっています。また時代の変化に柔軟に対応できる若い世代の主導権は強まると予想されています。明治維新や戦後復興期など時代の転換期のように、青年が明るい未来を創造し人々を先導していく時代が到来します。そして未来を創造するうえでSDGsという指標はさらに重要になってきています。WITHコロナの時代を経たとしても、目指すべきビジョンが変わることはありません。SDGsは明るい未来に向かうための道標となります。
どんな危機が訪れても、希望は必ず存在します。私たちが希望を持って進めば、あらゆる人の心が豊かで、誰もが明るい未来を描ける高松を実現することができます。今こそ、青年から勇気ある一歩を踏み出しましょう。

自己投資の横軸と社会投資の縦軸

私たち青年会議所の活動は「社会を良くする事業を通して、自分を成長させていく活動」です。つまり「社会を良くする=社会投資」という縦軸と「自分を成長させる=自己投資」という横軸の2軸思考で私たちの活動は計画されなくてはいけません。しかし社会投資という命題に向き合う中で、自己投資という要素が後回しになる傾向があります。大切なことは社会課題を解決する活動に比例して、私たちの人としての成長が促進されることです。これまで続けてきたことを踏襲するような思考停止状態になっていては、どれほどの時間や費用をかけても良い成果を出すことはできません。今一度、自分の力で考えて問題を見つけ、解決に導くことができる個人と組織に進化すべきです。そして私たちの成長こそが希望ある未来に繋がるということ、青年会議所運動の基盤になることを再度認識しなくてはいけません。

横軸(自己投資)―幸せになるための自分づくり

では自己投資とは何なのでしょうか。私たちは時間とお金を、自分の意志決定のもとに青年会議所活動に投資しています。この活動への投資から得られる利益は主に知識・能力・人脈・自信(実績)の4つです。単年度の役職任期を受けもつ青年会議所において、この投資利益は1年以内に返ってくることが保証されています。また40歳で卒業を迎えた後にも様々な利益を得ることができます。しかし投資している意識がなく、時間とお金を浪費しているメンバーがいるのも事実です。今一度、自身が投資をしているということを意識する必要があります。そして成長という利益を得るために多くのメンバーが積極的に活動に参加すれば、この自分づくりの投資市場が活性化し、さらに大きな利益となって返ってきます。私たちはともに幸せになるために成長し続ける集団にならなくてはいけません。

横軸(自己投資)―希望に導いてくれる繋がりづくり

世界の平均寿命は年々上がっており、私たち世代も同様に過去に例のないほどの長い人生を生きなくてはいけません。長い人生の中では予想できないような問題が発生し、判断の難しい選択にも迫られるでしょう。一人の知識や能力では解決できない状況が訪れた時、私たちには何が必要なのでしょうか。それは知恵と力を与えてくれる繋がりづくりに答えがあります。
青年会議所会員は多様な業種の経済人の集まりですが、社会課題の前では十分な専門知識をもち合わせていません。しかし組織外の有識者や協力者からの支援により成長し、社会課題を解決してきました。私たちの運動には専門的な知識や経験をもつプロフェッショナル、行政、企業、他団体との繋がりが絶対的に必要なのです。また大学生などの20代の若い世代との繋がりも非常に重要です。私たちと世代の近い彼らとは、将来必ず社会で協働する関係になります。同じ時代を生きていく若い仲間と知り合い、価値観や人生観などのギャップを埋めることができれば、未来は良い方向に変化します。そして、共感してくれた彼らの中から、将来仲間となる人も出てくるでしょう。友人ばかりの居心地の良い空間も大事ですが、組織外の人々との繋がりは大きな財産となります。パートナーシップこそが私たちを希望に導いてくれる力であることを認識しなくてはいけません。

縦軸(社会投資)―豊かな心を生み出すひとづくり

では社会投資として何が必要なのでしょうか。私はひとづくりとまちづくりの2つの社会投資を考えています。今、大きな問題となっているのが心の病の問題です。現代社会はデジタル技術の進化によりコミュニケーション方法も多様化を極め、対人関係のストレス過多は新たな次元に突入しています。それにより心の病を発症する人も増加しており、1999年から約20年の間に2倍以上増加し、2017年では419万人を超えています 。心の病は私たちの身近な存在になっています。また年間の自殺者数は2万人を超える深刻な状況です 。失業率が1%上がると自殺者は2000名増えるという調査結果も出ています。コロナ禍により廃業する企業が増え、失業者や生活困窮者が増えると自殺や心理疾患という問題はさらに深刻になっていきます。私たちはこれらの問題に立ち向かい、あらゆる人の心が豊かで、ともに互いを助け合える社会を創造しなくてはいけません。
まず発症件数の増加により私たちの近くでも発生する可能性の高いメンタルヘルスの問題に関して、より多くの理解と知識を得なくてはいけません。もちろん自己のセルフケアも含めてです。自助・共助の必要性とメンタルヘルスのリテラシーを高めることで、自分自身の救済、また周囲の人たちを誰一人取り残さずに助けることができる社会を実現しなくてはいけません。さらに自分や周りの人が心の病に陥ってしまった際の初期段階でどのように対処したらいいのかを検討し発信する必要があります。誰にでも簡単にできる応急処置(ファーストエイド)を多くの人が知って実践することができれば救済の可能性は大きく高まります。また対人関係の中心に立つ企業のリーダーがメンタルヘルスの理解を深め、精神論ではないメンタルケアを理解し実装することで、より多くの人を救済することができます。社内だけでなく、社員の家族や関連する全ての人たちを包括してケアすることのできる企業が生まれれば、この問題は解決に向けて大きく前進します。
さあ、あらゆる人が豊かな心で生きることのできる地域社会を生み出していこう!

縦軸(社会投資)―明るい未来を描けるまちづくり

コロナ禍によって都市部から地方への移住に対して20代~30代の関心が高まったという内閣府の調査結果が出ました 。過密した都市生活がもつ危険性より、開放的な地方生活の安全性に期待が高まり、さらにリモートワークも実践されたことにより「好きな場所で仕事をする」という新しい生き方に期待が寄せられています。また、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)という自分らしい豊かな生活の質を示す指標も注目されています。年間500時間(生涯合計で約2年)と言われる都市の通勤時間の長さや生活コストの高さなどは問題視されています 。香川県は山脈に囲まれ台風や豪雨による災害が少なく、また内海である瀬戸内海に面しているため津波の程度も低いものと予想されています。高松は自然と人の生活圏が近い距離にあり、いつでも海や山などの自然に触れることができます。芸術や文化などの娯楽にも恵まれ、低い価格で美味しい食事を提供する文化もあります。若い人が移り住みたくなるまちが創造できれば生産人口が増え消費が高まります。多様な人が集まりイノベーションが起きれば産業や市場も活性化し、経済が持続的に成長を続けていく明るい未来が到来します。
まず移住者を増やすためには移住に関する情報が手に入りやすいことが必須です。他の地域の人々に移住促進のための仕事・生活・環境・文化などの情報を広く発信し、地域のメリットと具体的なイメージを十分に伝える必要があります。そして就職や進学を機に県外に出ていった人々が戻りたくなるまちにするために、就職に関する企業情報や起業支援となる情報の発信を行い、人的なネットワークをつくる機会も提供できれば、地域に戻る人は増えます。さらに新たな地域へ移住するほとんどの人は実際に現地に訪れ、環境や文化が自分に合っているか、人的な繋がりは十分に得ることができるかを調べます。この現地への視察というきっかけは移住を決心する重要な要素となりますが、きっかけづくりに対する取り組みや整備は不十分です。移住のための視察に特化した観光、滞在、交流の新たなモデルを生み出せば、さらなる移住者の獲得に繋がります。
さあ、誰もが住みたくなるまちの未来地図を描き、力を合わせて進んでいこう!

柔軟にアップデートできる組織づくり

近年、デジタル技術の革新により徐々に変化していた働き方に関する常識がコロナ禍を経てさらに変化しました。この新たな常識をもとに私たちの組織もアップデートしなくてはいけません。まず会議は新たなデジタルツールを積極的に活用し、闊達で質の高い議論ができる形を模索し続ける必要があります。そしてリモート活動において会議資料の電子化は必須と言えます。場所や時間の制約のない電子資料の活用は、柔軟で効率的な運営に通じます。さらに資料作成や共同作業、メンバー同士のコミュニケーションなどもICT技術を活用し、効率的に実施しなくてはいけません。
また私たちの事業構築のスキームも見直す必要があります。アンケート調査などにより社会課題に対する一次情報をもつ、そしてどのようにすれば解消されるかの仮説をもつ、さらに事業を通して仮説を実証するというスキームが重要です。最終的に検証結果をもとに提言書として発表していく必要もあるでしょう。事業の大きさではなく質を高めること、目立つことと社会の役に立つことの違いを今一度認識する必要があります。
そして高松青年会議所が社会や市民からどのように見られ、何を求められるのかを今一度、客観的に知る必要があります。さらに地域社会に何を約束し、どのようなアクションをとるかを明確にして、組織をブランディングしなくてはいけません。また活動に関わる全ての繋がりを大切に守り、継続して良好な関係性をもち続ける必要もあります。そして社会、あるいは関わる全ての人からの私たちに対する評判が評価に変わる組織像をデザインしていきます。
また私たちの組織の大きな特徴として、厳格な例会の設営があります。緊張感がある進行を徹底する理由には、参加してくれた会員への敬意があるからです。そして会員の能動的な参加を実現できれば個々の能力の向上に繋がり仲間との友情が深まるなど、投資利益の促進になります。しかし、オンラインの導入により時と場所を選ばなくなった結果、参加者のモチベーションの切り替えは難しい現状で、自宅でテレビを見るような受動的な参加となる状況であり、学びの少ない結果が生まれています。これからはデジタルツールを活かしつつ、高いモチベーションで参加でき、質の良い学びを得ることのできる新たな設営が必要です。
また本年は2016年に作成した高松青年会議所の長期戦略であるNEXTビジョン60が制定されてから5年目であり、中間検証を行う年です。5年の間に行ってきた運動・活動を多様な視点で検証し、大きく変わった社会の変化も考慮に入れて策定しなければなりません。より柔軟で強靭な運動が展開され、理想とする未来を実現するための戦略計画をアップデートします。
さあ、時代の先端をとらえた柔軟に進化し続けることのできる組織をつくろう!

勇気ある行動を生み出す絆づくり

私には「チャンネル(繋がり)は多い方が良い」というモットーがあります。高松青年会議所には約100名の仲間がおり、さらに900名近いシニアの諸先輩がいます。そして、日本中に3万3千人、世界中に17万人以上の青年会議所会員がいます。このチャンネルを活かしていくことは最良です。日本青年会議所をはじめとする地域外のメンバーからは新しい情報だけでなく、人生を変えるような思想と価値観を学ぶことができます。また海外の仲間との交流は私たちの視野をさらに広げてくれます。日本という国が世界においてどのような存在で、何を期待されているのかを知ることは、時代の潮流を見る上で重要となります。またいつも英知と勇気を与えて頂き、温かく導いてくれるシニアの諸先輩方との世代を超えた絆は、私たちがもつ最大の財産ではないでしょうか。
そして、まだ見ぬ仲間との出会いには私たちの人生を大きく変える可能性があります。会員数が減少している状況の私たちですが、社会は人的ネットワークを重要視するようになりました。人との出会いが人生を豊かにします。より多くの繋がりや仲間を増やしていくことは、幸せな人生のための投資であると考えています。もちろん、新たに加わる仲間にとっても魅力であると言えます。
さあ、あらゆる苦難を乗り越えていく強い絆をつくり、勇気をもって進んでいこう!

未来へ

幸せとは何でしょうか、もし世界に自分一人しかいない場合、そこに幸せは存在しません。つまり幸せとは人との関わりの中で生まれるものです。自分の幸せは周囲の幸せ、そして世界全体の幸せに繋がっています。私は家族や会社の人々に理解して頂き、また時間を与えてもらい青年会議所活動に参加しています。自己投資である利益は最終的に応援してくれた周囲の人々に還元しなければなりません。それこそが私の最大の幸福に繋がると考えています。
そして私たちが住んでいる高松は、多くの先達が情熱をもってつくり上げてきました。ではこれから数十年後の高松は誰がつくるのでしょうか。それは未来の責任世代である私たち青年です。加速度的に変化していく世界の中で私たちは思考停止にならず、自分で考え続け自己を何度も変化させなくてはいけません。しかし変化は目的ではありません、幸せを手に入れるための手段の1つです。あらゆる人が豊かな心をもち、明るい未来を地域に生み出すことができれば、きっと多くの人が希望をもって生きていくことができます。かけがえのない幸せが溢れる高松のために、今こそ勇気をもって一歩踏み出し、大きな変化を生み出していきましょう。

自らの力で考え、大きく変わっていこう
私たちにしか生み出せない、私たちのための幸せな未来に向けて
Change The World!