「メンタルヘルスに関する市民の意識調査」の結果報告書

心の不調が深刻化しているなか、メンタルヘルスに関する市民の意識を調べ、
2021年度高松青年会議所が行う心の不調を改善する事業の基礎資料を作成しました

「メンタルヘルスに関する市民の意識調査」の結果報告書

2021年2月3日 
公益社団法人 高松青年会議所
2021年度ひとづくり委員会 理事委員長 熊野 雄太

Ⅰ.調査目的

昨今のデジタル技術の進化によりコミュニケーション方法が多様化し、対人関係ストレスが増加しています。また、現在のコロナ禍においてリモートワークや外出制限、活動の自粛要請などにより多くの人が経済面のみならず、精神面に対して大きなストレスを受けました。そのことにより近年減少傾向にあった自殺者数も増え、精神疾患者も増加するという問題が深刻化しています。
心の不調が深刻化するなか、メンタルヘルスに関する市民の意識を調べ、2021年度高松青年会議所が行う心の不調を改善する事業の基礎資料とすることを目的に、本調査を実施しました。

Ⅱ.アンケートの回答から導き出されたこと

  1. アンケート結果から自分のことが受容され、問題があったとしてもその問題を共有することができ、共感しあえる環境があればストレス値は低いということが分かりました。
    そのことから周囲との信頼関係の構築、コミュニケーションをうまくとることができればメンタルヘルスの悪化を予防することが出来ると考えられます。
  2. 3割以上の職場にメンタルヘルス不調者が在籍しており、全体の6割以上の方にストレスが溜まっています。
    その中でストレス解消法を持っている方は経営者・役員層で約7割、管理職、一般の方で約5割となっているため、効果的なストレス解消法が必要と考えられます。また、その解消法を知りたいと望む声も多いことが分かりました。
  3. 職場で行うストレスチェックもストレス解消の手段の一つであり、行っている職場は約3割あるが、ストレスチェックをしている方とストレス値の相関関係が認められなかったため、ストレスチェックが形骸化しており上手く活用されていないと考えられます。
  4. ストレスを受けることは職場に限らずプライベートの問題もあり得るので、日頃からコミュニケーションを取って従業員の状態把握に努める必要があります。
  5. 3割以上の職場にメンタルヘルス不調者が在籍している状態でありますが、経営者・役員層で約36%、管理職で約24%、一般の方になると約49%もの方がメンタルヘルスケアに関して特に取り組む必要は無いと回答しています。
    そして、自由記述には職場でなくプライベートでの問題でストレスを抱える方が見受けられます。
  6. 8割の方は、心の不調者が増加していると回答しており、メンタルヘルスの問題が大きくなっていることは明白であり、今後、早急な対応が必要です。

以上のことから、メンタルヘルスに関する知識や理解を深めるとともに、心の健康を維持する必要性を広く知っていただき、自身や他者のメンタルヘルスをケアする方法を確立し、日常生活に活用していただけるようにしなければならないと考えられます。
厚生労働省の調査によると、「我が国の心の不調による経済的損失は大きい。この内訳は、治療などに関わる直接費用よりも、罹患により就業できないことや、仮に就業できても労働生産性の低下による部分が大きい」ことを指摘しています。
経営者・役員として、経済的損失を阻止する必要があり、そのためにも自身や他者のメンタルヘルスをケアする方法を確立し、日常生活に活用することが重要だと考えられます。

Ⅲ.アンケート詳細について

①方法

1.対象

対象は、高松青年会議所のメンバー(以下、メンバー)が所属する会社の経営者・役員、管理職、従業員または一般住民です。

2.方法

調査方法は、自記式質問紙調査票を作成し、インターネット(グーグル)を利用して質問への回答を求めました。
調査票冒頭に、調査目的と個人情報の保護、調査の協力は自由意思であることを明記し、調査への協力を依頼しま                                                             した。
調査項目は、(1)性別、(2)年齢、(3)仕事内容、(4)職位、(5)自己によるストレスの判断1項目、(6)仕事状況に関する6項目、(7)ストレス状態11項目、(8)仕事の相談相手1項目(9)上司・同僚・友人・家族に対する気軽さ、頼り、相談の3項目、(10)上司・同僚・部下とのコミュニケーション2項目、(11)周囲、職場での心の不調者の存在2項目、(12)心の不調時の解消方法1項目、(13)心の不調者の増減傾向1項目(経営者・役員と管理職のみ)、(14)心の不調時の対処方法1項目、(15)メンタルヘルスケアの職場での取り組み2項目、(16)ストレス内容、ストレスからくる体調不良、です。
自己によるストレスの判断は、溜まっていない(1点)~溜まっている(5点)で回答を求めました。仕事状況に関する6項目、ストレス状態11項目、上司・同僚・友人・家族に対する気軽さ、頼り、相談の3項目は、そうだ(4点)~違う(1点)とした。仕事の相談相手は家族、専門家、上司、同僚、友人、いない、から複数回答可とした。上司・同僚・部下とのコミュニケーションは、良く取れている(1点)~取れていない(4点)とした。いずれも高得点ほどメンタルヘルス上よくないことを示します。
ストレス内容・ストレスからくる体調不良の項目は、自由記述としました。
なお、調査内容の(6)(7)(8)は、職業性簡易ストレスチェック23項目(厚生労働省HPhttps://stresscheck.mhlw.go.jp/download/material/sc23.pdf)の一部を使用しました。

3.調査期間

調査期間は、2020年12月1日~12月31日です。

4.分析方法
  1. 全ての調査項目について、項目ごとに集計し、回答した人数や百分率を算出しました。
  2. ストレス状態合計点に関係する要素をみるために、要素によりストレス状態合計点に差があるかないかを調べました。(ストレス状態11項目の得点を加算し合計点を出しましたが、加算できるかどうかについて信頼性分析を行い問題がないことを確認後に合計点を算出しました。要素とは、年齢、仕事内容、職位などストレス状態以外の調査項目を指します。)
  3. ストレス状態に最も関係する要素を調べました。
  4. 分析には、エクセルソフトとSPSSソフトを用いました。
  5. 分析には、香川県立保健医療大学教授 國方弘子先生の協力を得ました。

②.結果

1.対象者

回答者数200人を目指して回答を依頼し、経営者・役員55名、管理職29名、従業員または一般住民104名の合計188名から回答が得られました。188名のうち男性約8割、女性2割で、30代の方が約4割でした。仕事内容は、専門職か管理職と回答した方がどちらも約2割で回答結果の中で最も多くなりました。

2.自己によるストレスの判断

どの職位においても6割以上の方からストレスが溜まっていると回答がありました。

経営者・役員

65.5%の経営者・役員が自分にストレスが溜まっていると判断しています。

管理職

62%の管理職者が自分にストレスが溜まっていると判断しています。

従業員・一般住民

67%の従業員・一般住民が自分にストレスが溜まっていると判断しています。

3.仕事状況に関する6項目

どの職位においても、多くの仕事を抱え、仕事に対し真面目に取り組む姿勢が見られ、仕事に対し自身の意見が取り入れられやすい環境です。

経営者・役員

勤勉な勤務態度、多くの仕事を抱えた状態、仕事への自身の意見が反映されています。

管理職

勤勉な勤務態度、多くの仕事を抱えた状態、仕事への自身の意見が反映されています。

従業員・一般住民

勤勉な勤務態度、多くの仕事を抱えた状態、仕事への自身の意見が反映されています。

4.仕事の相談相手

どの職位においても、家族に相談するが多くなっています。
次いで、同僚や友人など横の関係の方に対し、相談しています。
上司に相談できる方はストレス値が低いという相関関係が出ました。

経営者・役員

家族に相談するという回答が一番多くなっているます
次いで友人に相談するという回答が続いています。

管理職

家族に相談するという回答が一番多くなっています。
次いで同僚に相談するが続いています。

従業員・一般住民

家族に相談するという回答が一番多くなっています。
次いで同僚に相談するが続いています。

5.上司・同僚・友人・家族に対する気軽さ、頼り、相談

この項目では同僚と気軽に話せる方のストレス値が低いという相関関係が出ました。
このことから問題を共有している者同士で気軽に話せる環境があればストレスが溜まりにくいことが考えられます。

経営者・役員

経営者・役員は同じ問題を共有していない相手の方が気軽に話せます。
家族・友人に対し気軽に話せるが同僚や部下には話しづらいという結果が出ています。

管理職

家族に対し気軽に話せるが同僚や部下に対し話しづらいという結果が出ています。

従業員・一般住民

家族に対し気軽に話せるが、上司に対し話しづらいという結果が出ています。

6.上司・同僚・部下とのコミュニケーション

上司や部下とコミュニケーションが取れていると認識している人は7割近いが、前出のアンケート項目では上司には相談しづらい、部下と気軽に話せないなどの値が高くなっており、コミュニケーションの取り方に問題があり信頼関係が構築されていない可能性があります。

経営者・役員

半数以上が部下とコミュニケーションが取れていると認識しています。

管理職

半数以上が上司とコミュニケーションが取れていると認識しています。
部下とコミュニケーションが取れていると認識している方は68.9%に上ります。

従業員・一般住民

70.2%の方が上司とコミュニケーションが取れていると認識しています。
78.8%の方が同僚とコミュニケーションが取れていると認識しています。

7.心の不調時の解消方法

半数以上の方がストレス解消法を持っています。
管理職、従業員・一般住民に限れば約半数の方がストレス解消法を持っていない、または何か分からないという結果が出ています。このことから効果的なストレス解消法が必要と考えられます。

経営者・役員

7割以上の方がストレス解消法を持っています。

管理職

約半数がストレス解消法を持っています。
24.1%の方がストレス解消法を持っていないと回答しています。

従業員・一般住民

半数以上の人がストレス解消法を持っています。
36.5%の方はストレス解消法が何か分からないと回答しています。

8.心の不調者の増減傾向

約8割の方から心の不調者が増加しているとの回答を得られました。
メンタルヘルスの問題が大きくなってきていることは明白で対応が急がれます。

経営者・役員

増えているが43.6%、少し増えているが40%という回答を得ました。
減少を示す回答は得られませんでした。

管理職

増えているが44.8%、少し増えているが34.5%という回答を得ました。
減少を示す回答は得られませんでした。

9.周囲、職場での心の不調者の存在

約3割の職場で心の不調を抱えた方が在籍しています。

経営者・役員

3割以上の方が職場に心の不調者が在籍していると回答しています。

管理職

約5割の方が職場に心の不調者が在籍していると回答しています。

従業員・一般住民

約3割の方が職場に心の不調者が在籍していると回答しています。

10.メンタルヘルスケアの職場での取り組み

約3割の職場でストレスチェックを行っているが、約半数の職場では特に取り組みを行っていません。

経営者・役員

特に取り組みを行っていないところも約45%あるが、29.1%がストレスチェックを行い、23.6%がヒアリングを行っています。

管理職

6割以上の方がストレスチェックを行っていると回答しています。

従業員・一般住民

半数以上がストレスチェックを行っていると回答しています。

11.職場でどのようなメンタルヘルスケアに取り組みたいか

前出のアンケート項目で心の不調者が増加しているとの認識を持っていますが、メンタルヘルスケアについて取り組みたいことが特に無いと回答された方が、経営者・役員で36.4%、管理職で24.1%、従業員・一般住民で49%と高い数値が出ています。

経営者・役員

特に無いと回答された方が一番多くなっていますが、メンタルヘルスケアについて学びたいという回答が32.7%あります。

管理職

効果的なストレス解消法を知りたいとの声が半数近くあり、メンタルヘルスケアについて学びたいとの回答も31%あります。

従業員・一般住民

特に無いとの回答された方が49%で一番多いが、次いで効果的なストレス解消法を知りたいという回答が26.9%あります。

12.ストレス内容、ストレスからくる体調不良(自由記述、すべて記載)
  • 季節や天気の変わり目や身体の不調、生まれ持っての特性や資質など、原因は様々にあると思う。休むことに寛容であれること、理解する時間と姿勢を選択できる、余裕のある地域社会を望む。
  • スタッフの心の不調が最近増えてきており、会社として健康経営に取り組みたいので、具体的な運営方法を学びたい
  • ストレスチェック等や面談を行うが、仕事以外のストレスが原因(と思われる)で休職の職員もいる。例えば…失恋で不調になる→病院にいく→適応障害の病名がつく→傷病で休職。どこまで仕事内容がストレスになっているのかどうかが分かりにくいし、どこまで職場側が管理しないといけないのが分からない。
  • コロナ禍で見えないが、従業員も負担を抱えていると思うので、簡単に取り組むことができる、メンタルケアを知りたい
  • 仕事と家庭と会のバランスが難しいこと。
  • 食べられなくなり、体重がかなり落ちた時期があった 寝れなくなり、またかといって眠くもない覚醒した時期が2ヶ月ほど続いた ただ情緒は安定せず上がったり落ちたりを1日の中でも何度か繰り返した 問題が解決するとなくなった
  • 仕事、JC、プライベートが全て忙しくなった時吐き気がしてご飯が食べれなくなる。
  • これ以上改善されなければ辞めたい
  • 仕事の進捗状況が常に心配であり気がはりつめている。
  • 上司との価値観の違い
  • 憂鬱になる。
  • 寒暖差アレルギー 顔面神経痛が出る時がある
  • 身内に精神が安定しないものがおり心が休まらない
  • 上司からの圧力により、体調不良になる。
  • 肌荒れがひどくなった
13.ストレス状態11項目

経営者・役員のストレス状態について、平均点が高い順に、「ひどく疲れた:87%があった」、「気が張り詰めている:84%があった」、「へとへとだ:73%があった」、「だるい:74%があった」、「不安だ:74%があった」、「落ち着かない:62%があった」でした。

管理職のストレス状態について、平均点が高い順に、「ひどく疲れた:86%があった」、「気が張り詰めている:89%があった」、「だるい:75%があった」、「へとへとだ:72%があった」、「気分が晴れない:79.3%があった」、「不安だ:79%があった」、「ゆううつだ:72%があった」でした。

従業員・一般住民のストレス状態について、平均点が高い順に「だるい:73%があった」、「ひどく疲れた:77%があった」、「不安だ:69%があった」、「気が張り詰めている:72%があった」、「気分が晴れない:63%があった」、「ゆううつだ:65%があった」でした。

14.職位別ストレス状態合計点 (188名の分析)

ストレス状態合計点が最も高いのは管理職、次いで経営者・役員でした。しかし、職位によるストレスの高さにはほとんど差がありませんでした。

15.ストレス状態合計点に関係する要素について (188名の分析)

ストレス状態合計点と関連があったのは、「仕事状況に関する6項目」、「仕事相談が上司である」、「仕事相談相手が同僚である」、「気軽に同僚と話ができる」、「上司とのコミュニケーションがよく取れている」、「心の不調時の解消方法をもっている」、「心の不調時の対処方法を知っている」でした。その中でも、ストレス状態合計点に最も影響があるのは、「仕事相談相手が同僚である」であり、次いで影響が大きいのは仕事状況で「職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる」でした。